『「私」の国分一太郎研究』は、国分一太郎の生きた時代とその思想の研究であると同時に、「私」自身の自己史でもある。

豊島作文の会 7月例会報告

豊島作文の会 7月例会報告

参加:伊藤、太田、榎本(典)、桐山、榎本(豊)、鈴木、工藤

《提案》
 {『低学年の作文指導』(二年生)};

提案者        板橋区立板橋第一小学校 榎本 典子 さん


1.久々の持ち上がりの二年生
今年の2月、典子さんから『1.作文指導入門~作文指導の初めの一歩~ 2.よく見て
書こう』という題で提案(一年生)をしてもらいましたが、このときの子どもたちが
二年生に。典子さんにとっては、「久々の持ち上がり」です。

(1)初めに、典子さんから、次のような話がありました。
① 一年生の時から毎日やり続けてきたスピーチ(お話しよう)は、継続は力で、話
す力がぐんと伸びてきた。自分が話す日が近づいてくると、メモを準備してくるなど
も、続いている。

② 書くことに関しては、さまざまな形で「書く」活動を続けてきたが、「生活を見
つめた文章を丁寧に書かせていく」というのがしっかりできていなかったので、二年
生では、ここを伸ばしていきたいと考えた。

③5月例会で、田中さんの話から、会話を書くと様子がよく分かる、会話を書くこと
は大事なことなんだということを学んだが、会話をしっかり思い出して書ける子ども
たちにしたいと思っている。

2.二年生になって取り組んだこと(文章表現に関わって)
(1)作文帳を持たせて、1週間に1回提出をさせている。忙しくて、一枚文詩集にする
余裕がないので、題材の良さや書きぶりの良さなどを評価しながら、全員の子どもた
ちの日記を読んで紹介してあげている。

(2)教科書の単元に「今週のニュース」というのがあり、日記の中から選んで書かせ、
読み合っている。

(3)国語科と生活科の時間を使って、「タンポポの絵本作り」に取り組んできた。こ
の実践は、2年生を受け持った時には、必ずやることにしているのだが、大奮闘して
完成。保護者に見てもらうことができた。

(4)運動会を「詩のように書く」を実践。6月の片桐さんの提案の中にあった、移動教
室の詩を見て、運動会でも使えると考えた。「心に残っていることを、そのことだけ
を書こう」ということで書かせてみたが、それなりに「詩っぽい」いい作品ができた。

(5)《かんさつ名人になろう!》ということで、教科書にある「ミニトマトのかんさ
つ」を書かせた。ここでは、「手ざわりは」「色は」など、よく見て書くとはどうい
うことかを学習した。

(6)何としても、「生活をしっかり見つめて書く」授業を実践したい!ということで、
指導題目を『ある日 ある時、友だちや家族としたことで、心にのこっていることを、
順序よく、よくわかるように書く』と決め、11時間扱いで指導を進めた。「友だちや
家族としたこと」としたのは、ぜひ会話をいっぱい書かせたいと思ったから。

1)「意欲喚起」では、『けんかしたこと』『カレー作り』『鉄棒で楽しく練習したよ』
(3つとも、「東京の子」第33集から)、『すべりだいのジェットコースター』(田
中定幸さんの『作文のコツ 中学年』より)を参考作品として読み合った。

2)参考作品の読み合いをしながら、並行して、取材カードを使って「たねさがし」を
させた。途中から、あれこれ注文をつけて、「たね作り」にも挑戦させてみた。金曜
日などに、〈家族と一緒に何かやってみよう〉、〈友だちと何か面白いことをやって
みよう〉など、「たねさがし」でなく、「たね作り」の宿題を出した。「パパとお
ふろに入ったこと」、「お母さんとトマトを切ったこと」、「おねえちゃんとお店や
さんごっこをしたこと」など、たね作りの成果が作品に出るようになってきた。

3)「記述指導」として、
①「スケッチ作文を書く」(先生の行動を見せて、先生がしたこと、言ったことを順
序よく思い出して書く)を実践。子どもたちの書いた作品をつかって、「順序よく
書くとは、どういうことか?」「よくわかるように書くとは、どういうことか?」に
ついて学習した。

②あと、『すべりだいのジェットコースター』、『やけど』の2作品を読み合いなが
ら、よくわかる書き方、会話のたのしさを学習した。
*このあとの指導については、割愛。


3.話し合いで出たことなど
◆1年生の時から指導が続いていることもあるが、今回典子さんが指導したことが、
即、成果として出ている。打てば響くという印象の子どもたちだなと感じる。せっか
くここまでやったのだから、できあがった作品、みんなで読み合っていくと、いい勉
強ができると思う。

◇中村さすけ君の作品、題と中身が不思議ですね。どこで、かきとうめとももが出て
きたんだろう?

◆こういうまとまった作文指導は、1年間を通してどのくらいやればいいのだろう?
2年生初めての取り組みでこれくらい書けるなんてすごい。会話が入っていると想像
しやすいわけだけど、5年生でも、こんなふうに書けるだろうか、と思ってしまう。

◇以前、耳とか口とか目のマークをよく使ってましたよね。会話は、聞こえてくるこ
とばだから、耳のマークにしてしまうことが多いけど、口マークと耳マークと分ける
のは、言ったことば、聞いたことばとはっきり分かれていいなと思って聞いてました。

◇由紀さんが、以前、おとうふを手ですくう様子をよく見て書かせるというのをやっ
たけど、あの時、すてきなマークを使ってたね。低学年では、これ使ったほうがいい
よね。

◇タンポポの絵本作り、すごくステキ。4月の早い時期にスタートさせないといけな
いわけでしょ? 2年生を受け持つ時は、ぜひやりたいね。

◇(今回見せてもらった作品は、先生が赤ペンを入れた後のものですか、という推敲
に関しての質問のあと)子どもによって、膝下指導が入っているわけですね。

◇スケッチ作文で典子さんが行った指導って、すごく大事なんだなあと思った。
「よくわかるように書く」とか、「順序よく書く」とはどういうことなのか、そのこ
とを子どもたちに分からせるには、この指導が大事ですね。

◇(指導計画に関連して、行替え、清書ができないことが問題になる。)
・行替えが
小さい子どもたちにとってはとてもむずかしいもののようだ。

・原稿用紙の使い方って、必死になる必要はないのかな。

・4、5年でも、「行替え」と書いてあげて返しても、そのまま写してしまう子が多い。

◆すばらしい授業で感心しました。会話を書くということに典子先生がすごくこだわ
って授業をしている。たとえばスケッチ作文の授業。会話を書くというのは、描写の
勉強なんです。だから、スケッチをするというので、ぬいぐるみを用意してきて、ぬ
いぐるみを使って、典子先生がいろいろと話をしながら行動する。子どもたちもそれ
にかかわって話をする。で、それをあった通りに書いてみようと投げかけている。こ
の勉強で、子どもたちが変わった。会話が書けるようになったと言っていい。

◆会話になったら行変えをする等、清書が中々できないという話が出ていたが、これ
は、子どもが納得してないからだと思う。子どもたちがのびのびと書けるようになる
までは、あんまりうるさく言わない方がいいだろう。

◆日記にしてもそうだが、作文の授業でしっかりと指導をしていかないと、力がつ
いていかないと思う。
・題名の書き方もそう。ていねいに教えていく。

・順序よく書くとは、こういうことなんだよと、一文一文教えていかないとだめだ。

・最初に、まとめた文で、「きょう、公園で遊びました。」ではなく、きっかけか
ら書くなど書き出しも教える。

・低学年などは、どこでマルをつけるかも、ていねいに教えなければならない。

・「目をしっかり働かせる」とはこういうこと、「耳をしっかり働かせる」という
ことはこういうことなども、ていねいに教えていかなくてはだめだね。

◆作品の内容を見ていてうらやましくなった。月火水で1回、木金で1回、週2回、
日記を提出させているが、6年生36人中、半分くらいの子が、前半提出できないで、
居残りで書かせている。土日にスポーツ少年団などの活動が一日中あって、疲れて
て書けないというんだね。半分の子はがんばって提出できているわけだけど、「提出
できなかった場合は残って書く」、こういうルールを貫きながらやっていくしかない。
担任の先生方には、ちょっとしたアドバイスを子どもたちに出して欲しい、時間が
あったらいいと思った日記など子どもたちに読んでやって欲しいなど思うのだが、忙
しすぎるのかな、気の毒で言えないですね。大体、日記を読むのすら大変なんだから
ね。今日の作品を見ていて、子どもたちが生き生きしていて、型にはまってない、面
白い子がいっぱいいる。うらやましいね。

◆参考作品をいくつも読んであげている。長年実践を続けている典子さんの強みだね。
参考作品集のようなもの、あると便利だろうね。

◇今回の『すべりだいのジェットコースター』は参考作品として特に良かったと思
う。これをまねしちゃう子が出てくるくらいで、2年生の子どもたちにピタッときた
感じね。(=典子さん)

◇日々の日記指導、ニュース、タンポポの絵本作り、運動会を詩のようにとか、いろ
いろと積み重ねがある中で、メインの指導題目のある作文指導が行われている。「順
序よく書く」「よく分かるように書く」「会話を入れて書く」が強調されたていねい
な指導によって、いい作品ができている。すばらしいなと思って聞いていた。典子さ
んの話って、聞いているだけでとても楽しいのよね。拍手で終わりましょう。

川の水であそんだこと
                  二年 あべ なぎと

 ほり口くんとばいじゅくんとこうていかいほうでいちょう
の木の下でどろだんごをつくっていました。ぼくが、
「川であそぼう。」
と言いました。あそんだ日は、六月二十四日です。川でザリ
ガニをつかまえようとしました。校ていかいほうのおばさんが、
「ザリガニは、つかまえたらにがすんだよ。」
と言いました。だからザリガニつりをやめました。ばいじゅ
くんが、
「じゃあ、ありながしをやろう。」
と言いました。ほり口とぼくが、
「いいよ。」
と言いました。ばいじゅくんが川の石のところで、ありのす
をみつけました。ぼくが、
「じゃあ木のぼうをもってきてあげる。」
と言いました。草がはえているところから見つけました。ぼ
くが、ありのすに木のぼうを入れました。そしたらありがい
っぱい出てきました。ばいじゅくんが、
『ありたいりょうはっせい。」
といいました。そのありを、ほとんどつかまえました。でも、
手がくすぐったくて、
「くすぐったいー。」
と言いました。そしてぜんぶ川に入れました。水の中のあ
りは、ひらおよぎみたいにおよぎました。そして、たきのほう
におよいでいきました。そして、右のほうにおよいでいきまし
た。ありは石をのぼってりくにあがりました。ありをつかま
えてすにかえしてあげました。ぱいじゅくんが、
「ありのすの中にきのみをいれよう。」
といいました。きのみをとっていれました。
たのしかったです。


かきとうめとももをひろったこと
               二年 中村 さすけ

 ふるやくんと学校がえりにいっしょにかえりました。
人のいえのでんちゅうをとおったとき ふるやくんが
「これびわだ。」
といいました。ぼくも
「びわだ。」
といいました。
「これ先生にあげよう。」
とふるやくんがいいました。
おうちにかえって ふくろにいれて ママが
「くさっちゃうかられいぞうこにいれて。」
と いいました。ちょっとふくろをやぶりました。く
さっちゃうかられいぞうこにいれました。その日は
たのしかったです。
つぎの日ひろったピワを 先生にあげました。


水かけっこ
            二年 くろいわ あゆむ

六月二十五日 おかあさんが、
『おふろにはいりなさい。」
と言いました。ぼくは、
「いいよ。」
といいました。でも、こうきは、
「やだ。」
といいました。そうしたらぼくが、
「それじゃあ、水かけっこしよう。」
と言いました。そう言ったらこうきが、
「はいる。」
といいました。おふろに入ったら、まず、からだにせっけ
んをつけました。タオルで、あらって、ぼくが、
『水かけっこ。」
といいました。こうきが、水でっぽうでぼくの顛に水をか
けました。つぎにぼくが、くみおけに水をくんで、こうきの
あたまから水をかけてやりました。かけたらこうきが、
「おにいちゃんやめて。」
といって、シャワーをかけました。ぼくがかけられたので
『よくもやったな。」
といって、ぼくもシャワーをかけました。なんかいもやりま
した。さいごにぼくが、くみおけとばけつに水を入れて こ
うきにかけました。そしたらこうきが
『きゃー 。」
といいました。たのしかったです。またやりたいです。(はや
とがもうすぐ大きくなったら 三人でやりたいな)と思
いました。


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